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「ぐっ……嫌な性格」
「とにかく、たまには息抜きも必要だろ。30分後に下迎えに行くから、準備しとけよ。メシは途中で食えばいいよ。我慢できなきゃ、お菓子やるから」
「子供みたいにいうな」
そういって、電話を切り、ぼくは急いで仕度を始めた。
昨日はけっこうな分量のお酒を飲んだけど、アルコール分も低いし、たくさん眠ったから、二日酔いというほど、体がだるいわけでもなかった。まあ、だからといって絶好調というわけでもない。
とりあえず、泊まりという響きに必要そうな荷物をボストンに詰め込んで家を出ると、それから2分くらいして、修平が薄いブルーメタリック色の車に乗ってやってきて、合図にクラクションを鳴らした。
間もなくして、助手席のドアが開いたので、ぼくは少し緊張しながら乗り込んだ。
ぼくがシートベルトと、ドアロックをしたのを確認すると、修平はゆっくりアクセルを踏み、車を発進させた。
「ドライブだとは思わなかったろ?」
「うん。でも、考えてみたら修平も免許取れる年だもんね。ねぇこれってジープでしょ?」
「ああ。パトリオットっていって、タウンユース向けの少しコンパクトなやつだけどな」
「修平の車?」
「まさか。親父の借りてきたんだよ」
修平は、ハンドルをポンポンと、指でリズムよく叩きながらいった。
「ふうん。で、どこ行くの?」
「どうしようかなぁと思ったんだけど、やっぱ海は基本だよな」
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