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「どうする? 寝るなら、俺は帰るけど」
とりあえずの栄養補給もすみ満足したのか、目がうつろになっていたらしい私を見て、修君はいった。
「いやだ。起きてる。だって、今日でお別れかもしれないんでしょ」
「まあ、そうじゃないとはいい切れないな」
修君は、対応に困ったように視線を泳がせた。
「ベッドで大人しくしてるんならいいんでしょ?」
「基本的にはね」
「じゃあさ、じゃあさ。読んでないマンガのまとめ読み大会しようよ。一冊ずつ回して読んでくの。まだ手を出してないのたくさんあるし」
「別にいいよ。大長編よりは、短めのほうが、やりやすそうだな」
「うん。ちょっと、本棚の黄色い書類ケース取ってくれない? そこにリストが書いてあるんだ」
私の指示に従い、修君はベッドと本棚を往復して戻ってきた。
私は、その中から、一枚の紙を抜き取り、修君に渡した。
リストには、作者、巻数、少年、少女、青年、スポーツ、恋愛、ギャグ、ミステリーなど、細かくジャンル分けされた印が振ってある。我ながら芸が細かい。
「なんか読みたいのある?」
「……つーか、少女マンガばっかりだな」
「誰でもきいたことあるような、あまりに有名なのは、だいたい読んじゃったからね。そういうのはたいてい男向けマンガだから、そこに載ってないだけだよ」
「じゃあ、俺はランダムでいいや。指で、そのリスト適当に動かしてみ、途中でストップっていうからさ」
「おっけい」
いわれたとおり、返された紙を指でなぞると、10秒くらい経ってから、修君が合図を出した。
「おっ。これは、ちょっとマニアックな……」
「なんだ、なんだ?」
「それは、読んでのお楽しみ」
私は、メモを用意して、何タイトルかの候補を書き記すと、修君に手渡した。修君が臨死!江古田ちゃんを引き当てたことは、教えないままだった。
「古本屋さんになかったら、無理に探さなくていいからね」
「わーった。他に何かいるもんある?」
「えっとね、コーラと、プリンと、チョコレートお願い。あと、ひさしぶりに、UNOがしたいな」
「なんか、修学旅行みたいだな」
「そうだね。私は行ったことないけど」
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