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……たらしだ。妖精だろうと人間だろうと関係ないんだ。
「でもどうやってですか?」
「それは、穴をシルフに掘らせた」
「きゃー素敵。私も見習わなきゃ」
身体でしなを作りながらミキはエドに擦り寄る。
「穴を掘るとは原始的でありながらもよくひっかかりましたね」
「なんせ、30箇所も掘らせたからな。ユニコーンの足だろうと
関係ない。はっはっは」
「これのせいで私はボロボロに……」
「実に有能な下僕がいて助かるよ」
……エドさんに召喚されなくてよかったです。
「ウンディーネ。私の代わりに移動魔法でバーに返して」
「うん、私達帰りますね」
「お、そうか。コイツを宜しく頼む。はっはっは」
汗一滴垂らす事無く終えてしまうとは、恐ろしい人ですね。
私たちはまた妖精バーに戻る。
そして、無表情のハーデスさんからハニーコークを頂きます。
ハニーコークは、はちみつとしゅわしゅわとしたタンサンという人間が
作ったお酒です。
「私たちはタンサンで酔えるんですよ、知ってました?」
「ウンディーネ、何をぶつぶつ言ってるの?」
「こ、こっちの話です、でもユニコーンをやっつけたんですから
経験値たくさん入ってくるんですよね」
「それが、そうもいかないみたい。何せ私は穴を掘ってただけだからね。
穴30個分の経験値だけよ。フッ」
わわわ、シルフのオーラが青黒い影に包まれてます。
「妖精虐待なのよ、ごくっごくっ」
そんなペースで飲んで大丈夫なんですかね。
「飲んでなきゃ、やってられないわ」
「私も飲みます」
口の中でしゅわしゅわします。
喉でちくちくしますが、それを過ぎると、口内にはちみつの甘味とタンサン
の爽快感が私を幸せにします。
「仕事あがりはこれに限るわ」
「……私は全く仕事してません」
「え、ミキちゃんのほうがいいじゃん。エドは鬼で悪魔だよ」
「うーん。仕事がないのとどっちがいいんですかね」
「絶対そっち! 私は休みが欲しい」
「でも、シルフさんレベル1ですよね」
「……そ、そうだけど!でも!でもよ、休日にここで1日中タンサンに
耽りたいんだよ! わかる?わかります?」
「気持ちわからなくもないですけど。私もここの雰囲気好きですし」
樹木を切り取り、その木材を利用して内装は作られていて、
灯は蛍、所々にシダの葉やコケを散りばめた自然を演出した空間です。
妖精サイズのため天井は10cm程しかありませんが。
「そういえばケットは?」
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