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ベニヤ色に染まった木の机に突っ伏したシルフは言いました。
突然思わぬ所から声が聞こえてきました。
「彼は狩りに出かけたよ」
「わわわ、ハデスさん。ありがとうございます」
「うむ」
無表情ながら笑っているのかな? 怖そうで優しいんでしょうか。
じっと見ても……わかりません。
「ケットはどうせすぐ帰ってきますよ」
「そーね」
ケットさんとその召喚士クラノスさんは相性がいいらしく
10分で大抵ここのバーに戻ってきてます。
「私も新しい風魔法覚えないかな」
「……経験値積まないとですよ」
「ウンディーネは暗黒世界のほうが仕事多かったんでしょ」
暗黒世界とは、ファーランドの前の時代、魔王が世界を支配していた
恐ろしい時代。しかし、神獣を召喚し一撃で倒してしまった、とか。
「お代わりいるかい?」
ハデスさんがお代わりをくれました。
「あ、ありがとうございます。」
「うむ」
そのやり取りをすると、また別の客を相手に行ってしまいました。
「ハデスもよくわからない奴よね。いいマスターなんだけど」
「一体何者なんでしょうね」
「どっかのおエライさんが隠居生活してんじゃないの?」
「まさか」
私たちは、ケットが戻るまで談話に明け暮れました。
今日は、思ったより手ごわい敵だった。
触れてしまうと即死では、私やクラノスのように
近距離からでは厳しい。
「お疲れ、ケット。いい子だもどっていい」
「にゃぁ」
私はお疲れとだけ言い妖精バーへと戻った。
「ただいま、ウンディーネ、シルフ」
「あ、お帰りなさい」
「おかえり」
なんだろうか、この違和感。
いつものバー……にゃあ。
「お前も大変だなぁ。クラノスの前では猫やってんだろ」
「うむ、それが我々の努め、代々猫はにゃあというに限る。ほどほどにしとけ」
大分出来上がってるな、シルフは。
「お疲れ様です。今日は遅かったですね」
「うむ、マスター。マタタビを1つ」
「はいよ」
……こやつ、一体いつからここで働いてるんじゃろか。
「ケットさんは、タンサン飲まないんですか?」
「そろそろ試験があるからのぅ」
「私もレベル2になる試験があるから! アー、またお呼びですか。」
シルフは光に包まれながら消えていった。
「……ははは。」
ウンディーネは苦笑いの表情を私に見せた。
あいつもエドに使われて大変なやつだ。
それに比べて私は師に恵まれたにゃあ。
「ウンディーネは仕事にいかんのか?」
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