灼熱の大地と襲われた姫君。

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「はぁぁん、いい湯~だ~な、あははんとくらぁ。」 「何それ?」 「決まってんでしょ。お風呂の決まり事よ。」 イト姫に比べればぺったんこではあるが、意外と存在感のある胸を張るゆかり。 イト姫は自らの胸を浮かび上がらないように抑えているが。 「しかしでっかいね。それ。」 「うるさいな~。勝手にでかくなったのよ。」 「羨ましいこってす。 あれ?そういやウロコは?」 「ああ、ハーフだからね。引っ込めることもできるのよ。ほら。」 ゆっさゆっさ。つるーん。 「・・・超巨乳に無毛か。 やるわね。」 「何がっ!?」 なぜか感心するゆかり。 なぜかびびるイト姫。 バタバタバタバタ。 風呂の外。廊下が騒がしい。 バァン!! 砕け散る扉。飛び込んでくる人影。 「ごめんっ!!エニシ君を助けてやってくれっ!! それとっ!! 俺はアキラの所に行くっ!! もうなんでもかんでもほったらかしてっ!! 俺の思うままに行くっ!! すまんっ!!」 呆然と立ちすくむ裸身の二人。 ゆかりに抱き渡されたものは傷ついたエニシ。 イト姫は、一瞬暗い顔をし、そしてまた笑う。 「龍人族の掟っ!! 嫁入り前の娘の裸を見た奴はっ!! そいつを側室でもなんでも取らねばならないっ!! ツムグ!! 側室でもなんでもいいから! 面倒みてもらうぞっ!!」 その豊満な身体を惜しげもなく晒し、見せつけるイト姫。 「そ、側室っ!? な、なんだかわかんないけどわかった!! それじゃあ後は頼むっ!!」 踵を返し、走り去るツムグ。 小さくガッツポーズするイト姫。 「・・・あ、あのう。 ツムグさん、側室って意味、知ってるのかな?」 「あそこの王室にそんな制度はないっ!だから知らないかもしれないっ!! ついでに言うなら龍人族にそんな掟はないと思うっ!! でも・・・。 だけど言質はとったどーーーー!」 ついに派手に拳を突き上げるイト姫。 「・・・も、モノホンの肉食系ってこぇぇ。」 怯えつつもエニシの治療を始める。
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