灼熱の大地と襲われた姫君。

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「・・・・・・でかいわっ!!なんぼなんほでもでかいわっ!!イト姫様いとでかすぎるわっ!!」 「・・・・・・でかっ!!無駄にでかっ!!ティラノかっ!?ティラノなのかっ!?」 俺とゆかりのWツッコミが部屋に炸裂する。 それも仕方ない。だってでかいんだもの。 なんつーか、広い部屋にでかいティラノサウルスが横たわってこっちを見てる。そうとしか思えないでかさ。 ちょいちょい。 ツムグさんに肩を叩かれ、振り向く。 その顔は青ざめていて・・・。 「・・・言うの忘れてた。 イト姫様に、でかいは禁句・・・。」 たらぁり。 冷や汗を垂らしながら振り向く。 その、ドラム缶を縦に丸呑みできそうな口の隙間から炎を吹き上げながら、怒りに震えるイト姫様。 「ぶ・・・。」 炎が漏れる。 「ぶ?」 「無礼者がぁぁぁっ!!」 どぐわぁぁぁっ!! 超巨大炎ブレスっ!! 必死で頭を抱える俺とツムグさん。 ずいっ。前へ出るゆかりっ!? 「でかいもんはでかいんだよっ!!水神壁っ!!」 どっかぁぁぁん。 ゆかりの生み出した水壁と炎ブレスとがぶつかり合い、水蒸気爆発を起こし、吹き飛ぶお部屋、消し飛ぶ建物。 もくもくもくもく。 水蒸気が俺達の視界を隠す。 薄れてきたもやの奥から顔を覗かせるのは、立ち上がったティラノサウルス。 「あ~、でかいね~、これ。」 「うん。やっぱりでかいね~。」 「さてと。」 姫様に背を向け、クラウチングスタイルとなるツムグさん。 「・・・ツムグさん、何してるの?」 「え?決まってるだろ?」 グルルルルルル・・・。 イト姫様が炎をこぼしながら、こちらをねめつけてくる。 「逃げる準備さ。」 「逃がすかぁぁぁっ!!」 さらにでかい炎ブレスが撃ち出され、同時に神速で後ろに向かってダッシュするツムグさん。「おどりゃぁぁっ!!」炎ブレスを巨人拳で空に向かって打ち払うゆかり。慌てふためく俺。 「小娘!やるねぇっ!!」 ティラノらしからぬでかい前足が振られ、それを左巨人拳で受け止めるゆかり。 「そっちこそっ!姫っつーからなよなよしてっと思ったらやるじゃんっ!」 右巨人拳で殴りかかるも、それもまた受け止められ・・・。 互いの手と巨人拳とで掴み合いとなり、拮抗する女性陣。 慌てふためき、怯える俺。
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