灼熱の大地と襲われた姫君。

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「ははは、懐かしいな。こうやって後ろから抱きつかれるのも。 どうした?また兄妹ごっこやりたくなったのか?」 振り向かずに手を伸ばし、頭を撫でてやるツムグさん。すっげえ幸せそうな姫様。 くいくい。ゆかりだ。 「・・・ねえ、やばくない?」 「ん?仲良さそうだよな。ツムグさんこの辺に留学してたって言うし、その頃から仲良しだったんだろ。」 「あんたに聞いた私が馬鹿だった。」 「・・・ねえ。部屋は用意したからさ。このあともう少し話さない? ・・・二人きりで。」 ピクピク。ゆかりの耳が動く。ダンボみたいに動く。器用だな。 「ん、いいよ。どのみちエニシ君達は銀月治療にきたんだ、滞在させてやって欲しいし。 僕も今夜はここにお邪魔させてもらいたいからね。 ははは、しかし本当に懐かしいな。昔はよく、真の武について夜通し語り合ったっけ。」 がくがく。イスから落ち掛けるゆかり。不器用だな。 「ツっ!」「そこの小娘、お前たちもカップルなんだろう?お前たちも。 二人部屋でいいんだよな? ツムグは色々つもりつもった話があるから一人部屋だ。」 ゆかりが何か言おうとし、何か思い出し、もごもごしている。 「うっ、むぅ、あ、う・・・。 むぅぅぅ~・・・。 わ、か、た。 それでいい。だけどその前にってどの前だって感じだけど、姫様、あんたと折り入って話があるっ!二人きりでっ!」 「何だ?二人きりって。」 「うるさいっ!女同士の話があんのっ! エニシはその間ツムグさん頼むわよっ!? 任せたよっ!?」 すんげえ目力で何かを語るゆかり。 ツムグさんを任せた? 何をだ?
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