灼熱の大地と襲われた姫君。

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姫様自室にて。 ゆかりとイト姫。 イスに腰掛け、相向かう二人。 竜人姫イトはその女性にしては大柄な身体をふんぞり返らせ、余裕を持ってお茶を啜り、 ゆかりはその小さな身体を縮こませ、まるで獲物に飛びかかる虎のように力を蓄える。 「それで? 小娘。 私に用とは?」 先に口を開いたのは年長者の貫禄からか。 「・・・まどろっこしいことは抜き。 はっきり言うけど、あんた・・・。 ツムグさんに惚れてるんでしょ?」 ぶっふぁぁぁぁーー! 盛大に吹き出したお茶はゆかりの自動防御壁に防がれる。 「なななななにゃにをばかなっ! そそそそそそんなことあるわけにゃいだろうっ!!」 「・・・露骨にわかりやすい反応ね。 見てりゃ誰でも・・・。 あ、ばか二人にはわかんないか。 とにかくバレバレだから。」 「ば、バレバレか?」 頬を赤く染め、俯くイト姫。 「うん。バレバレ。気づかないのエニシとツムグさんぐらいのもん。 まあそりゃいいんだけどさ。 あ~、え~っと~、すんごい言いづらいんだけど、ツムグさん、好きな人いるよ?」 ピシィ! 赤くなったり、凍りついたり忙しい。 「・・・・・・いるの?ツムグに?」 「うん。いる。 私達の世界で出会った人。アキラさんって人なんだけどね。 これからツムグさんはその人に会いに行く所なの。」 「・・・そうか。いるのか・・・。 ・・・一人だけか?」 落ち込んだのも束の間、顔を上げるイト姫。 その目に宿るは戦いの炎。 「そ、そりゃまあ一人だけだけど・・・。」 若干気圧されるゆかり。 「・・・なら側室でもいい。どのみち我らが群れは奴の国と比べれば小さすぎて釣り合わないしな。それは構わん。 側室の座は空いているのだな?」 「お、おう。さすが異世界。側室ありか。いやまあ空いてると思うよ?」 「・・・ならいい。ならば構わんっ!! 勝負をかけるさっ!今夜、今夜だっ!!」 立ち上がり、立ち上る気合い。 「す、すげえな。肉食系、パネェ。」
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