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一方その頃。エニシ自室にて。
「は~、いいお湯だった~。
ねえ、ツムグさん。」
「はぁ~、そうだね~。いい湯だった~。」
二人だらけて椅子に腰掛ける。
「そういやさ。ゆかりにツムグさんの事、お願いされたんだけど、俺何すればいいの?」
「へ?僕をお願い?
・・・う~ん、護衛とか?」
「あ~、それか~。そうだよね。王子様だもん。一応護衛しなきゃな~。
・・・護衛って何すればいいの?」
「え~、僕元々護衛とかってあんまりつけないしな。別にいらないよ~。」
「そうだよね~。」
二人ダラダラし続ける。
「そういやさ~。ツムグさん、アキラさんに会いたくないの?」
「・・・えっ!?
いや!そりゃ会いたいに決まってるさ!」
「あ~そっか。そんなら勘違いか~。
なんか会うの先延ばしにしてるような気がしてさ~。」
ぼけ~っと天井を見ながら言うエニシ君。
「・・・先延ばしにしている。
僕がそう見えるのかい?」
「あ~まあね~。そう見えただけ。
ほら、俺らみたいなさ。なんもねえ連中からすると、なんつーのかな、俺らガキだから突っ走るけどさ。
なんかツムグさん、躊躇ってるように見えてさ~。
せっかく王様とかに許可もらってんのに、なんかさ、言い訳がないと会えないようなそんな気があるのかな~って。」
天井を見上げるその横顔は変わらない。
大人と子供の中間。
それだからこそ気づけるのかもしれない。それだからこそ口にできるのかもしれない。
「・・・君は妙な所は鋭いね。
そう。
僕は怖がってるのかもしれないな。
アキラに会うのをさ。」
「・・・なんでよ?
そんなアキラさんって怖いの?」
真顔。驚いたような真顔。
「ふっ!くっくくっ。
いや、そういう意味ではなくてね。
アキラは優しい人だよ。
・・・たださ。
僕が地球を出る時、一度は別れた二人だから。
・・・一緒に来てくれとは言えなかった。
一緒に来るとは言ってもらえなかった。
当たり前なんだけどね。ははは。
・・・だから、怖いんだ。
何を今更って言われそうでさ。」
今、僕は何を見ているのだろう。
エニシ君を通して、何を見ているのだろう。
「・・・大人ってめんどくせえんな。
ばかみてえだ。」
吐き捨てるように言うエニシ。
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