灼熱の大地と襲われた姫君。

23/31
前へ
/780ページ
次へ
一方その頃。エニシ自室にて。 「は~、いいお湯だった~。 ねえ、ツムグさん。」 「はぁ~、そうだね~。いい湯だった~。」 二人だらけて椅子に腰掛ける。 「そういやさ。ゆかりにツムグさんの事、お願いされたんだけど、俺何すればいいの?」 「へ?僕をお願い? ・・・う~ん、護衛とか?」 「あ~、それか~。そうだよね。王子様だもん。一応護衛しなきゃな~。 ・・・護衛って何すればいいの?」 「え~、僕元々護衛とかってあんまりつけないしな。別にいらないよ~。」 「そうだよね~。」 二人ダラダラし続ける。 「そういやさ~。ツムグさん、アキラさんに会いたくないの?」 「・・・えっ!? いや!そりゃ会いたいに決まってるさ!」 「あ~そっか。そんなら勘違いか~。 なんか会うの先延ばしにしてるような気がしてさ~。」 ぼけ~っと天井を見ながら言うエニシ君。 「・・・先延ばしにしている。 僕がそう見えるのかい?」 「あ~まあね~。そう見えただけ。 ほら、俺らみたいなさ。なんもねえ連中からすると、なんつーのかな、俺らガキだから突っ走るけどさ。 なんかツムグさん、躊躇ってるように見えてさ~。 せっかく王様とかに許可もらってんのに、なんかさ、言い訳がないと会えないようなそんな気があるのかな~って。」 天井を見上げるその横顔は変わらない。 大人と子供の中間。 それだからこそ気づけるのかもしれない。それだからこそ口にできるのかもしれない。 「・・・君は妙な所は鋭いね。 そう。 僕は怖がってるのかもしれないな。 アキラに会うのをさ。」 「・・・なんでよ? そんなアキラさんって怖いの?」 真顔。驚いたような真顔。 「ふっ!くっくくっ。 いや、そういう意味ではなくてね。 アキラは優しい人だよ。 ・・・たださ。 僕が地球を出る時、一度は別れた二人だから。 ・・・一緒に来てくれとは言えなかった。 一緒に来るとは言ってもらえなかった。 当たり前なんだけどね。ははは。 ・・・だから、怖いんだ。 何を今更って言われそうでさ。」 今、僕は何を見ているのだろう。 エニシ君を通して、何を見ているのだろう。 「・・・大人ってめんどくせえんな。 ばかみてえだ。」 吐き捨てるように言うエニシ。
/780ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3905人が本棚に入れています
本棚に追加