灼熱の大地と襲われた姫君。

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「・・・君にはまだわからないだろうね。大人じゃない、ガキだもの。」 言葉に少しだけトゲが混じる。 「そうさ~。俺、ガキだからな。 来てくれって言うし、言われたいし、そのどっちも無理なら何としても一緒にいる方法探すよ。俺、ガキだから。 ガキだから王子様もホームの母ちゃんも関係ねえもん。 それにガキだからさ~。 な~んも考えずに言いたいこと言えるし。」 真顔。少し困ったような顔の真顔。 目上の者だとはこの子もきちんと理解している。その上で言葉を探っている。 そんな気持ちが伝わってくる。 「・・・君はいいね。 素直になれて。正直でいられて。」 「おう。正直は俺の十八番だからね。それしか取り柄ねえし。」 「・・・僕はまだそこまではいけないよ。 結局、立場がある。相手を思いやる感情がある。理性がある。」 「・・・邪魔なしがらみだろ?」 「・・・その通りだ。」 「・・・・・・なんで言わなかったんだよ。 お前もお前の家族も全部まとめて俺が面倒みる。ついてこれないなら俺がまた戻ってくる。なんとしても一緒にいたい。お前が好きだ。離れたくない。愛してる。 それだけじゃん。言えなかった言葉。」 「・・・・・・後の祭りだよ。 今更、ね。 勝手に始めて、勝手に終わらせた関係だから。 僕が利用しただけの関係だから。 ・・・だから。 ここで終わらせておくことが彼女のためなのかもしれない。」 ゆらり。 立ち上る気。 苛立っている?俺に? ・・・当然か。
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