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ガリガリガリガリ。
エニシ君の頭を掻く音が妙に響く。
「・・・マジでそう思ってんの?」
「なにがだい?」
「利用しただけの関係だってさ。」
「・・・だってそうだろう。言葉を覚え、風習を覚え、世界に馴染むために溶け込ませてもらった。
・・・僕は・・・彼女に何も返さずに。
帰ってきてしまった。
・・・帰ってきてしまったんだ。」
重い沈黙が部屋を支配する。
何も言わないエニシ君。
何も言えない僕。
やがて、エニシ君が口を開く。
「あ~~。龍二が~~。
龍二が俺に憑依する~~。
龍二の魂が~~。
今は亡き龍二の魂が~。
俺を襲う~~~。」
突然震え出すエニシ君。
「ど、どうしたのっ!?大丈夫かい?」
「ダメだ~~。限界だ~~。」
がくん。
エニシ君の頭が下がる。
「え、エニシ君っ!?エニシ君っ!?」
その肩を掴み、揺さぶる。
・・・何か、呟いている?
オンナ・・・ナメンナ・・・?
アキラサン・・・ナメンナ・・・?
がっ!
いきなり上がる顔。
その目は悪戯げに笑っていて。
「アキラさんっ!舐めんなぁぁぁっ!!」
どがぁっ!!
いきなりの衝撃。壁に叩きつけられ、頬の痛みで殴られたことに気付く。
ずる。
効いた。眩む。壁にもたれかかる。
どぐしゃあっ!!
顔面中央に拳がめり込む。
「アキラさん!舐めてんじゃねえぞぉぉっ!!
俺の母ちゃんっ!!舐めてんじゃねえぞぉぉっ!!」
どがっ!ばきぃっ!めしぃ!
容赦なく打ち込まれる拳。
ぐっ!!このぉっ!!
しゅるるるっ!すぱぁっ!!
僕の糸により、ズタズタに切り裂かれるエニシの腕。エニシ?龍二?
「この程度でっ!エロガッパが止まると思ってんのかぁぁっ!」
どごぉぉぅ!!
回転後ろ回し蹴りが鳩尾にめり込み、呼吸が止まる。
「俺はっ!!言ったかどうだか知らねえけどっ!!言ったよなぁぁっ!!」
前蹴り。顎を打ち上げられる。
「アキラさんを利用したらっ!悲しませたらっ!苦しめたらっ!てめえただじゃおかねえって言ったっぽくねぇえっ!?」
打ち下ろしの右が喉にめり込み、潰される。
「おらぁっ!!なんか言ってみろなぁっ!!
このチキン野郎っ!!」
胸倉を掴まれ、持ち上げられる。
喋れない。
「がぁっ!!」
僕の五本指糸が龍二の前面を五つに切り裂く。
吹き飛ぶエニシ=龍二。
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