灼熱の大地と襲われた姫君。

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「うおおおおおおおおおっ!! 僕はぁぁぁっ!! 俺はぁぁぁぁぁぁぁっ!! 男だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」 力ずくで床から身体を抜き、起き上がる。 天井を見上げ、動かないエニシ君。 ただ、その顔は笑っていた。 「・・・お・・・れは今・・・ 龍二・・・だから・・・・・・ エニシは負けてねえからな。」 最後の力を振り絞ったのだろう。力無く眼を閉じるエニシ君。 「ふっ。 最後の最後まで強がりか。 誇っていい。 君は僕に勝ったよ。 僕の弱い心に勝った。 ありがとう。」 抱き上げ、走り出す。   きっと少年達ならば走り出すだろう。 迷うことなく。迷ったとしても迷いながらでも。それでも明日に向かって走り出すだろう。 ・・・自分をねじ曲げ。 自分から逃げるくらいなら。 僕は、俺でいい。 俺は俺の恋心のままに、走る。
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