これ以上ない程の蛇足。

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沈黙が四人を包む。 ユッキーが恐る恐る顔を上げる。 「ぶるるるるるるぉおおおおおおおおおおおおおおっ!! ぶっひぃぃぃぃぃっ!!」 顔を上げた先には、歓喜に雄叫びを上げるゲリ男。 「ふんがぁぁぁぁぁぁっ!!」 「きゃっ!?」 むぎゅぅぅぅぅ! ゲリ男がユッキーを力強く抱きしめる。 ユッキーがそっとゲリ男の背中に手を回す。 「・・・なんてこった。」 「マジかよ・・・。」 呆然とするナツとリョウ。 「と、とりあえず歌っておくか?」 「そ、そうね。」 「「ステンダーイヤーにゃーにゃーにゃーにゃー。」」 二人のうろ覚えの歌が流れる中。 少し離れ、見つめ合う二人。 二人の唇が少しずつ少しずつ近づいていく・・・。 「・・・ぶっふぁっ!!」 ギリギリで吹き出すユッキー。 「えっ!?えっ!?」 キョドるゲリ男。 「ご、ごめん。だ、だってあなたそんなタコさんみたいな顔で必死で唇突き出してるからさ。ついつい面白くって! あはははははっ!!」 「そ、そんな~。」 「ごめん、ごめん。」 すっ。 がっくりと肩を落とすゲリ男の首に手を回すユッキー。 少しまた笑い、そしてまた近づく唇と唇。 ちゅっ。 「結婚してくびゃばび。」 「噛んだ。」「噛んだね。」 「・・・はい。喜んで。」 花のように笑うゆきえと、照れくさそうに笑うもげお。 そんな幻が見えるような・・・。 それは最後のおっさんファンタジー。 蛇足も完。 m(__)m
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