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――今回も、ダメだった。
違う、と思った。
別れを告げるために、付き合っていた彼の家までついていった。
家には家族がいるから。
その言葉に、バカな私はすっかり安心してしまった。
「もう好きじゃないの。別れてください」
優しい人だと思っていた。
逆上して突然顔を殴るなんて、想像もしていなかった。
ただ、怖くて。
逃げた先は、近所の公園。
痛い。
怖い。
どうして忘れていたんだろう。
男の人は、私に怖いことをするんだってことを。
どうして忘れられたんだろう。
みんな、弟のように守ってくれる存在なんかじゃないってことを。
……帰らなきゃ。
あそこは、私の家ではないけれど。
あそこは、純に会える場所。
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