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「おい……!どうした、それ!」
赤く腫れた私の頬を見て、真剣に怒ってくれる弟。
やっぱり、好きだなぁ。
ひだまりみたいに。安心する。
こんなの、純ちゃんだけなんだよ。
「……えへへ。しょうがないんだぁ。私が悪いんだよ、たぶん。うん」
「んなこと聞いてねぇ。誰にやられた」
ねぇ、好きだよ。
私、本当の子供じゃないけど、純ちゃんが弟になってくれて、幸せなんだ。
おかしいかな?私にとって、純ちゃんはいつだってヒーローなの。
「……彼の家に行ったの。お家の人いるし、大丈夫かなって思って。好きじゃないから別れてって言ったら……、殴られちゃった。へへ……。
膝はね、家から逃げるときに、道で転んだんだ。公園でボーッとしてたら、こんな時間になっちゃった」
「暗くなってから、ひとりになるな。ボーッとしたいんなら、俺を呼べ。どうせ暇だし、いくらでも付き合ってやる」
大好き。
大好きだよ。
きっと、彼女ができたら、こんなふうにいっぱい優しくするんだね。
いいな。
私は、そこにいけないから。
いつかこの場所を、誰かに譲らなきゃいけないから。
せめて、絶対に切れない関係でいたい。
「幸せになりたいんだけどなぁ……。なるべく早くがいいの」
「なんだよ、それ」
「幸せなお嫁さんになりたいんだぁ。大好きな人の、お嫁さん」
弟は将来、私じゃない人を、家族と呼ぶようになる。
家族が欲しい。
血のつながりが欲しい。
本当は、そこに、純がいてほしい。
「ねぇ、純ちゃんは、ずっと弟だよね。弟なら、どこにいても繋がってるよね。純ちゃんだけは、特別だよ」
弟に恋をしてはいけないのなら、せめて。
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