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私は、相変わらず弟にべったりで、だけどそれを嫌がる素振りも見せない弟に、ますます甘えていった。
「あっ!ねーねー、見て!空!天の川だよ!」
七月七日。七夕と呼ばれる日の夜に、純と空を見上げた。
そこには、無数の星屑たち。
天の川とは昔の人はよく言ったもので、本当に空に川が流れているようだった。
興奮して声を高くする私を横目に、今日も冷静な私の弟。
「めずらしいよね。七夕って、基本曇ってて見れないのに」
「梅雨だからな。本当の七夕って来月だし」
「ん?七夕は、今日だよ?」
「七夕っていうのは、旧暦からあったものだから、今で言う8月なの。
桃の節句なのに、3月には桃の花咲かないだろ。それと一緒。大体1ヶ月ズレてんの」
……。
うん、よく分からない。
「純ちゃん、頭いいねぇ」
説明してくれたことよりも、今日も飽きずに付き合ってくれる弟が愛しい。
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