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はぁー…。
自分のデスクに戻ると、大きく溜息を吐いた。
「ちょっと、明。そんな大きな溜息つかないでよ。こっちまで暗くなるわ」
隣のデスクで呆れた顔をしてそう言うのは、同期入社の伊藤亜紀(いとうあき)。彼女とは辛い時や困った時お互いを助け合う仲だ。
「ごめん…。何か疲れてる…」
「あんた、何かあったでしょ。やつれてるし」
亜紀は結構鋭い。
私の少しの変化も、彼女は簡単に見破ってしまう。
この前なんか私が資料の確認ミスをしてしまって、それがあまりにも初歩的なケアレスミスだったことから、上司からこっ酷く怒られたことがあった。
その日、亜紀は風邪を引いて会社を休んでいたから、その出来事なんて知らないはずだった。
しかし、次の日出社した亜紀は私の顔を見るなり、開口一番に『明、昨日何かあったでしょ』と言ったのだ。
時々、私は本気で亜紀はエスパーや超能力者じゃないかと疑ってしまう。
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