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「後で話す…」
私がそう言うと、彼女は『そう、わかった』と言い、私からくるっとパソコンに向き直った。
朝起きたときは、まるで世界が終わったかのようにどん底な気分で、とても仕事なんて出来るような状態ではなかった。
しかし、会社に一歩足を踏み入れデスクの前に座ってしまうと、案外すらすらと仕事が出来てしまうから不思議だ。
私はその日仕事に没頭した。
そうでもしてないと、思い出してしまうから。
『俺と別れて』と言った和也の顔を。
おかげで仕事が早く片付き、お昼の十二時を軽く回ったところで大体今日中の仕事を終えることができた。
「亜紀、お昼どうする?」
隣を見ると、亜紀もちょうどキリが良いところで落ち着いたみたいで、両手を高く上げて伸びをしていた。
「んー。社食行こうか」
「そうね」
私たちは鞄から財布だけを抜き取って席を立ち、社員食堂へ向かった。
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