突然の告白

10/26
1058人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「全然平気。お疲れ様」 「ありがとうございます。主任も営業回りお疲れ様です」 「ありがとう」 亜紀と新村主任のやり取りを聞きながら、私はジョッキに入ったビールをちびちび飲んでいた。 「伊藤さんもビールでいい?」 「はい!」 「すみません、ビール一つお願いします。あと、焼き鳥盛り合わせも」 温かい店内に響くのは、最近流行りのアイドルグループの歌。 リズムが良くて賑やかな曲調は、騒がしい店の雰囲気によく合っていた。 「ところで、今日は何の集まりだったの?」 店員さんに注文を終えた主任が、ビールを飲みながら私たちに向かって聞いた。 亜紀は気まずそうにチラッと私の方を見る。 嘘をつくことでもないから、私は正直に答えた。 「失恋しちゃったんで、亜紀が慰めに誘ってくれたんです」 「ゲホッゲホッ…」 瞬間、主任は飲んでいたビールを気管に詰まらせたようで、激しく咳き込み出した。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!