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「今は好きじゃなくていいから…。俺と付き合って…?」
主任のか細い声が耳の奥底で響く。
ウザいくらい付きまとってきたり、急に冷たくされたり、悪魔だったり優しくなったり、どの主任が本当の主任なのか分からない。
でも、そんなのどうだっていい。
さっき離れたばかりだというのに、もう既に私の心は主任の唇を欲しがっていた。
これが何よりの証拠だ。
だけど、どこまでも素直じゃない私は素直に「はい」ということが出来なかった。
返事の代わりに主任の手をぎゅっと握った。
その意味を理解してくれたのか、主任はすぐ私の手を握り返し掠れた声で「ありがとう」と耳元で囁いた。
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