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恋はしないと決めた。誰かと付き合えるほど気力も余裕も、今の私には残っていない。
しかし、告白をされればそれなりに相手を気にしてしまうもの。
私は気が付けば、一日中新村主任のことを目で追っていた。
一方、新村主任はそんな私に気付く様子はまるでなく、黙々と仕事をこなしていた。
会議室で顔を合わせても、階段ですれ違っても、主任は私の顔すら見なかった。
お昼休憩の時も、私の横に座ってくることはなく何人かの男性社員と一緒にテーブルを囲んでいた。
「はぁ…」
「明、今日落ち着きなさすぎ。また何か悩んでるの?」
「ううん。何でもない…」
「そう?それならいいけど」
朝からずっと挙動不審な私に、亜紀は不思議そうに尋ねてきた。
いくら親友とはいえ、言えるわけない。
新村主任に告白されて、主任を意識してるなんて。
高校生じゃあるまいし…。
もういい年した女が告白くらいで動揺してるなんて、口が裂けても言えない…。
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