距離

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「ほら、早くしろよ。店閉まっちまうだろ?」 「主任…」 「ん?」 振り返った主任に、私は自分から抱き付いた。 「何だよ、いきなり」 主任は、困惑しながらも嬉しそうだった。 「ちゃんと考えてますよ…。主任のこと…」 この人を傷つけたくない。 私の手で幸せにしてあげたい。 「何だよ、急に。気遣わなくていいよ。それに、あんまり可愛いこと言うとキスするぞ?」 「…」 頭の隅でチラつく和也の影に気付かないふりをして、真っ直ぐ主任を見つめる。
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