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ある程度大きくなると、俺様を見ては溜め息ばかりつく日々。
それを回避する為に、俺様は人間の言葉を吐いた。
そうすれば、ちょっとは見直してくれるかなぁ・・・なんて甘い考えだった。
俺様は母から尊敬されるでもなく、気味悪がられた。
『ご主人様。これは何かの間違いです。私からあんな子供が産まれる訳がございません』
母の声は飼い主どもには弱々しく「クゥン、クゥン」と鳴いているようにしか聞こえなかっただろう。
もしかすると、「私の可愛い坊やを捨てないで」と言っているように見えたかもしれない。
「ごめんよ。俺達じゃ、超大型犬は二匹も飼えないんだ」
「大丈夫よ。この子は私達がキチンとした場所に連れて行くから」
母の頭を優しく撫でた手は、俺様の口を塞ぐマスクへと伸びた。
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