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その日から、何日経ったかなんて覚えていない。
ただ、発泡スチロールの箱から何日も空を眺めては眠り、空を眺めては眠りを繰り返した。
どこを流れていても、空を舞うのは桜の花びらばかり。
多分、山裾や岸辺に大輪の花を咲かせ、人間どもを和ませていたのだろう。
発泡スチロールの棺の中でうずくまり、散り行く花びらを眺めては自分の運命を呪い涙を流していた。
「セバスチャン。おはよう!」
「おは・・・ワン!」
突然、マコトに声をかけられて、危うく人間の言葉を話しそうになった。
「オハワンだって」
大原マコト。
コイツが俺様の今のご主人様だ。
今年から小学五年生になる。
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