第1章

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――――ピンポーン―――― 来た…… チャイムの音に緊張した顔をさらに強ばらせた 出張で訪れた仙台の駅前にあるホテルの一室 東京から新幹線に乗れば通勤距離の範囲だが、ここなら知り合いに出会う確率はほとんどない 特にこの場合は…… ――…もう逃げられない 覚悟を決めて、ドアに向かった 都内の大学を卒業し、今の会社に入って2年 やっと仕事にも慣れてきて、人間関係も問題なく過ごせている 給料もそこそこ貰えて、同僚なんかは遊びに勤しみはじめた頃 が、自分はそんなに遊びに興味もなく、いわゆる暇を持て余している状態 自然と自分自身を見つめる時間が増える ―…自分の性向について… 自分に女性への興味がない事に気付いたのは、学生の頃だった もちろんそれなりに悩み、色々考えたが今はもう開き直っている 女性からアプローチを受ける事もあり、付き合ってみようかとも思ったけど、恋愛対象として見る事が出来ないのがわかるから断ってきた だから、まだセックスをした事はない…  
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