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うぅ~っ!!
「それでは、これからも宜しくお願いします」
してやったりと、ニヤリと笑う笹原くんに、ギリギリと歯を食いしばりながらも……。
「……………宜しく…頼む」
と、挨拶を交わした……。
「ところで、鈴木さんから、プライベートの名刺を受け取りませんでしたか?」
急に質問され、「え?」と返すと、笹原くんの眉がピクリと動いた。
「受け取りましたよね?」
「あ、あぁ…受け取ったが、それが…?」
ピキピキと音を立てるようにして不機嫌な顔になる笹原くんに、訳も分からず萎縮する。
「渡して下さい」
片手を差し出され、ハテナマークを頭上に浮かべていると、「渡して下さい」と、二度言われた。
本能的に、逆らうのは危険だと察知し、スーツジャケットのポケットから名刺を取り出し、恐る恐る、笹原くんの掌に乗せる。
昨日のドタバタで、名刺入れに直すのを忘れていた上に、携帯にも登録していない。
そんな事を考えている僕の目の前で、笹原くんがあろう事か…………名刺を破り出した。
「!?」
驚きすぎて、声も出せない…。
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