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連れ回される快感
というのを知ったのはこれが初めてだった。
「まずはヘアサロンへ」
「こないだ切ったばかりだよ」
「こないだっていつだい?」
「たしか先々月の頭……ってちょっと……!」
ため息をつくと
和樹は有無を言わせず僕の腕を引く。
「いいか?髪は伸びるんだよ」
「知ってるよ、そんなこと」
子供だって分かる。
「いいや、知ってたらそんなになるまで放っておかない」
それでもしごく真顔で
和樹は僕に指を突きつけた。
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