第5章 ミツバチと王様

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連れ回される快感 というのを知ったのはこれが初めてだった。 「まずはヘアサロンへ」 「こないだ切ったばかりだよ」 「こないだっていつだい?」 「たしか先々月の頭……ってちょっと……!」 ため息をつくと 和樹は有無を言わせず僕の腕を引く。 「いいか?髪は伸びるんだよ」 「知ってるよ、そんなこと」 子供だって分かる。 「いいや、知ってたらそんなになるまで放っておかない」 それでもしごく真顔で 和樹は僕に指を突きつけた。
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