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顔を茹でタコみたいに真っ赤にさせた俺は、情けなく後方へすっ飛んだ。
肩で大きく息をしながら、胸に手を宛がい。
異常なまでの緊張感に体を痙攣させる。
あっぶねぇ!!
今マジでキスするとこだった!!
「………」
ぽかーん、とした表情で俺を見つめているフミは、両手を宙に浮かせていた。
多分その手は俺を抱き締めるつもりでいたのだろう。
…ん?
てことは、キスを受け入れるつもりだったのか?
「…ちぃちゃん…」
「ふ、フミ!
ごめん!本当ごめん!!
いきなり過ぎて本当ごめん!!」
手を合わせて必死に頭を下げる俺。
下を向いていたから、フミの顔は見えていない。
だけど。
「……ごめんで済むか、コラ」
頭上から聞こえてきたそれはドスの効いた低い声で。
錆び付いたロボットの様に顔を上げた俺の目の前には。
恐ろしく冷酷な顔付きをするフミが仁王立ちしていた。
「…え、…フミ?」
「ここまで来て無理ってなんだよ、あ?
お前から仕掛けてきた癖に怖じ気づくってどんな結末だコノヤロー」
「ぇええええぇぇええええ!!!!?」
どちら様あああああ!!?
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