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世の中は甘くない、と偽善者な大人は良く言うけれど。
俺ならなんとかやっていけると思っていた。
…いや、それは現在進行形だ。
俺は強い。
負けない。
この世は 圧倒的強さを持つ強者だけが、全てを支配出来るのだ。
「高橋ィィイいいいいいい!!!!!!」
廃れた校舎の廊下で奇声を発する男と、その後ろを鬼の形相で追い掛ける俺。
周囲の人間はこの事態を慣れた感覚で傍観し、逃げ惑う【高橋】という男を哀れんでいた。
まさに俺は、この学校という狭い社会の中の支配者である。
「み、見逃してくださいいい!!」
「たわけぇ!!
んな慈悲は持ち合わせちゃいねえんだ…よっ!!」
地面を弾き、宙に浮いた俺の足が、ものの見事に高橋の背中に命中する。
断末魔の叫びを上げながら床に倒れ込んだ男の上に、俺は馬乗りになってもう一度叫んだ。
「返せ!!返せよ!!
俺の昼飯ぃいい!!!」
「ごめんなさいいいい…!!!」
男の癖にボロボロと涙を流すその男に、俺の怒りは更に湧き上がる。
女々しい顔が鬱陶しくて仕方が無いのだ。
もっと、こう…!
男ならドシっと構えるもんだろ!?
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