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俺はその時、酷い顔をしていたと思う。
フミに彼女が出来たと知って、凄く。
…凄く辛かったからだ。
顔を下げて困惑している俺に、フミは言葉を続けた。
「今度の土曜にデートすることになったの
良かったらちぃちゃん、ファッションチェックしてくれない?
男物ならちぃちゃんの方が詳しいでしょ?」
「…ぅん」
何で、そんなに明るい声すんだよ。
俺と話す時とは全然違うじゃねえか。
…くそ。
心臓が痛い。
あの時。
何が何でもフミを俺のモノにすれば良かった。
そしたら、こんな痛みだって感じることもなかったのに。
「…フミ」
「ん?なあに?」
「……俺のこと、好き?」
「当たり前じゃない」
…じゃあ、何で他の奴なんかと付き合うんだよ。
それはフミの言っている【好き】が。
俺が求めているのとは違うからなんだろうか。
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