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デート当日。
俺はフミの家で様々な服をその体に宛てがっていた。
恥ずかしげもなく目の前で上半身裸になっているフミは、どこか楽しそうだ。
…そりゃ、今から恋人とデートだもんな。
気分が良い訳だ。
「…デニムシャツが良いかもな
すらっとして見えるからフミに似合う」
「あらそう?」
穏やかな笑顔。
それが無性に腹立つ。
だってこんな顔をさせているのは、俺じゃない。
表情を暗くさせる俺にはフミは気付かないまま、デートの段取りを口にしていた。
そんな時、部屋の中に1人の男が入って来た。
フミの兄貴、康弘だ。
「おい、千歳
お前そろそろゲーム返せよ」
「あ?…あー、忘れてた」
「延滞料5,000円な」
「ぶっ飛ばすぞ」
フミの家には良く来ている為、ヤスとは結構仲良しだ。
え?見えない?
これが俺達の愛情表現なんだよ。
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