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ヤスと話していると、ふと俺の頭に手が乗っかった。
何気なくフミの方を見れば、あからさまに作った笑顔をしている。
「お兄様
早く出ていってくれる?」
「…オネエ」
「何か言った?」
フミの迫力に頬を引き攣らせるヤスが部屋を出ていく。
何故か分からないが、この兄弟の関係は良くないのだ。
本当、何でだ?
疑問に首を傾げてみるが、時間が迫ってきていることもあり。
俺は早々とフミの勝負服を決めたのだった。
髪のセットも終わり、完璧な状態になったフミ。
こんな事を言うのは気恥ずかしいが…結構カッコイイ。
「ありがとうね、ちぃちゃん」
「い、いいよ、お礼なんて
…それよりもう行かないとな」
頷いたフミは、腕時計を見て時刻を確認する。
俺はその姿を見上げながら。
本当に行っちまうのかな、って考えてしまった。
…行って欲しくなかったんだ。
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