あなた一体、誰ですか?

3/16
前へ
/24ページ
次へ
「その辺にしろ、このバカ」 「あぎっ!?」 ヴァコーンと頭から良い音が鳴ったかと思うと、後頭部に強烈な痛みが走った。 じわじわと広がるその感覚に思わず涙目で後ろを振り返る。 そこには怪訝な顔付きで俺を見下ろす1人の女が立っていて、その手には分厚い辞書が握られていた。 「イテェだろ、弥生!」 「高橋の方がよっぽど痛い思いしてるわ」 「や、弥生さああん…!」 「だから泣くんじゃねえよ、男が!!」 この俺様に手を挙げられる唯一の女、三里 弥生は俺の幼なじみである。 小中高と腐れ縁で同じ時間を共に過ごし、喧嘩っ早い俺の保護者という役目も負っている。 まあ、そんなもん頼んじゃいねえんだけどな。 おまけに周りからは「野獣ハンター」と唱われ、中々慕われていた。 俺は渋々と言った様に高橋の背中から退くと、弥生に向かって中指を一本突き立てた。 「イカれババア」 「あんだとコラ」 「ィダダダダ!! 折れる折れる!!」 俺が立てた指をゴリラ顔負けの力で押さえ込む弥生。 俺から言わせたら「野獣はお前だろ」って感じだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加