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真っ赤に腫れ上がる指にふーふーと息を吹きかけ、もう弥生なんか大嫌いだ、なんて思っていると。
後方から1人の生徒が駆け寄ってきた。
手首を曲げた女の子走りをしているが、容姿は丸っきり男である。
「ちぃちゃん!」
「おー、フミ」
辺りにバラを散らしながら、どこか艶っぽい表情をするソイツが俺の前で立ち止まり。
綺麗な髪を整えてから俺を見つめた。
「もうー、置いて行かないでよ」
「わりぃ、わりぃ
高橋が逃げるもんだから、つい」
「喧嘩はダメって言ってるのに」
お尻をぷりぷりと振って見せる男は、身長186センチと、かなり大柄で。
目を潤ませて可愛さをアピールするが、ガッツリ見下されている。
そんなコイツの名前は中村 文康。
通称フミ。
俺の一番の親友だ。
そして大分遅れてしまったが、俺の名前は相田 千歳。高校2年生。
…え?
男だと思ってた?
はは、悪ぃな。
俺はれっきとした女だ。
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