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「でもちぃちゃん
さっきのは幾らなんでもダメだと思うよ?」
「…何でだよ」
「何があったの?」
フミの言う【さっき】とは、高橋との騒動を指している。
口を挟んできた弥生もその事実が知りたかったのだろう。
俺は面倒くさがりながらも簡潔に事情を述べた。
_____10分前
俺とフミは、毎月1回だけ販売する【デンジャラス親子丼】を食する為に食堂に来ていた。
多くの生徒が乱闘寸前で列を成すその中で、必死こいてそこに居たのだ。
今か今かと待ち焦がれる俺は、ついにその親子丼を手にする事に。
だが、悲劇は起こった。
「…え?」
上機嫌でお盆を持つ俺の目は、黄金色に輝く親子丼に向いていた。
だが、一瞬にしてその輝きは失われる。
親子丼の上に、どこからとも無く降り落ちた靴下が、乗っかったのだ。
「え?…え?」
あちゃー、と顔を手で隠すフミと親子丼を交互に見上げ。
漸く事態を把握した俺の瞳には涙が滲む。
「…あ…や、やべぇ…」
ゴゴゴゴゴと殺気を際立たせる俺の耳に届いた声は、高橋のもので。
何故か食堂で靴下をキャッチボールしていたソイツを睨みつけた。
「高橋ィィイいいいいいいいい!!!!!」
「ごめんなさあああああいいいいいい!!!!」
そして冒頭に至る。
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