8㌔の勇気

18/19
前へ
/107ページ
次へ
「……んっ?」 驚いて目を開けると、いつの間に立ちあがっていたのか、腰を屈めて含み笑いをした嵐がいた。 「100メートル走、この曲でやってるよ?」 「へーっ。……えっ?違う曲にしなかったっけ?こんなんで早く走れなくないじゃん!」 「さっき差し替えて貰った。体育委員の特権だよなー。疑われなかった」 嵐は、本当にいい加減。委員会の仕事でまともにやったのは、選手宣誓だけじゃないか? 「コマ送りで走ってるよ、絶対!」 だけど、同じような絵を想像してしまったのだろうか。 あたしも嵐も堪え切れず、大きな声で笑った。 「いいじゃん。こっちはムードでるし」 嵐は涼しげな目をする。
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

325人が本棚に入れています
本棚に追加