彼の理想

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「それをきっかけにもっと、仲良くなるかもよ?」 「なれるかな…」 「なれるよ!それに、体育祭でジンクスあるじゃん?便乗しちゃったら?」 急に声を潜めるから、顔を近づけてしまう。 「ジンクスって?」 「知らないんだ?…体育祭で男子からハチマキを渡されて告白されると、2人は幸せになれるんだって」 「何それ、初めて聞いた。……でも……なぁ」 嵐に告白されるあたしなんか想像つかないよ。 「だから体育祭まで頑張ってみたら?」 自信のなさに溜め息をつくと、窓から中庭にいる嵐の姿が見える。 隣のクラスの男の子も混ざってボールを投げて遊んでいる。 無邪気な笑顔が可愛くて見てるだけで頬が緩む。 うっとりしていると、目につくのは敵の姿。 中庭のベンチに座ってボールを見ている振りをする子(細い)、2階の渡り廊下から、見下ろしてる子(中肉)。 教室の中からあたしみたいに中庭をチラチラ見る子(中肉以上)。
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