彼の理想

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◇ 「ゆーめちゃん」 嵐は、毎朝ゆめ子の机の前に来る。 「嵐くん、おはよう」 「おはよう」 そう言うと、決まって、ゆめ子の頬を指でぷにょりと押すのだ。 「嵐、ゆめのほっぺた、触るの一回1000円だよ」 毎朝、あたしがゆめ子の専属マネージャーみたいに止めに入る。 しっしっと迷惑なノラ犬を追い返すみたいに手を払った。 「もっと値下げしてよ」 「むーり。ゆめの彼氏の代弁させて頂きます」 「まーじで。ゆめちゃん、別れたら教えてね」 「別れないよーだ」 と、ふくれっ面をかました後、申し訳なさそうな目を向けるんだ。 あたしが嵐のことを好きだって知ってるから。
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