彼の理想

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「膨らんだお餅みたいな子が理想だな」 嵐はあたしにそう言った。 満面の笑みで。 膨らんだお餅か……。 ゆめ子には悪いけど、彼女はちょっと太っている。 そう、嵐はデブ女(ジョ)が大好きなんだ。 しかも、その中でも。 瞳は大きくて、少し童顔で色白。身長は小さいけど横に大きい子がいいんだって。 まさに、ゆめ子はそのままだった。太ってはいるけど、140センチ後半の身長。 クリクリした大きい瞳も女の子らしい長いまつ毛も愛らしさがある。 ふっくらほっぺたに色白のきめ細かい肌だから、触りたくなる気持ちも分かるんだ。 あたしから見ても抱きしめたくなる程可愛い。 あたしと嵐は入学早々のくじ引きで、隣の席になったせいか、憎まれ口を叩くくらいに仲良くなった。 そこまでは良かった。 だけど。 「タマなら首ねっこつかまえたら、運べるな」 あたしに向けられる言葉は、ゆめ子とは正反対の言葉。
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