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「……タマ、これあげる」
そのまま、ハラリとオレンジは、あたしの太ももに落ちた。
手にすると、ハチマキだった。
丸く大きな輪を作ったまま。
「……えっ?」
振り返ると、すぐ目の前に嵐が立っていた。
「これ、嵐の?」
「他の男のやつ、渡してどうするんだよ?」
「だって……」
「タマの首輪」
そう言うと、あたしの手からハチマキをとって、首にかけた。首輪というより、タスキみたいにダランとしてる。
「へっ?だって、さっき……加賀谷先輩に告白してたでしょ?ハチマキ渡して……」
「だから、泣いてたの?」
腰を屈めてあたしを見つめた。
「……泣いてない」
「目、潤んでますけど」
「嵐の目が悪いからそう見えるんだよ」
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