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何だかんだと口車に乗せられて、美桜は猫探しを始めた。
猫の名前はチャー。いなくなって三日目らしい。
だいたい猫なんてものは、恋の季節になれば一週間くらいは帰ってこないものだ。
そう思っていたら、35万円もするマンチカンという猫で、普段は家の中から出さないらしい。
猫なんて拾って来て飼うもんだと思っていた美桜には、たかが猫に35万円も払う人の気がしれなかった。
とはいえ、そういう人だから、いなくなったら探偵にお金を払ってまで探してもらうのだろう。
逆に言えば、こういう人がいるから、オジサンの生活が成り立っているのだ。
「すみませぇ~~~ん。この辺りでこんな猫見ませんでしたか?」
美桜は写真を片手に道行く人に声をかける。
「あっ、この脚の短い猫、この先の公園にいたわよ」
通りかかりの女性が、写真を見て教えてくれた。
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