第2話 太田美桜

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急いで公園に行くと、小さな女の子と若い母親が猫を抱いているのに出くわした。 「すみませ~ん」 美桜はその親子に向かって駆け寄る。 「はい?」 「その猫なんですけど」 「ああ、アナタの猫ちゃん?」 母親が聞いて来た。 「いえ、私のではないんですけど」 「そう」 「この子連れて帰るの~」 幼い女の子が嬉しそうに言う。 「飼い主さんがいないなら、うちに連れて帰ろうかと思って」 若い母親もその気になっていた。 「いや、あの待ってください」 じっくり見るまでもなく間違いない。顔といい柄といい手足の短さといい、どれをとっても依頼主の猫なのだ。 「その猫には飼い主さんがいらっしゃいまして」 「そうなの?」 「はい。私はいなくなったその35万円の猫を探してたんです」 「さ、35万!」 母親が素っ頓狂な声をあげたから、女の子は驚いて猫を抱く手を離してしまった。image=493490576.jpg
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