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「せ、せ、せ、先輩!」
美桜の目が普段の二倍の大きさに見開かれる。
ずっと憧れていた二つ上の先輩だった。
「えっと……もしかして相南高校?」
「は、はい」
「そっか」
鷹斗は優しく微笑んだ。
その顔に美桜の胸がキュンとときめく。
このクソ暑い中、オジサンの頼みを聞いてあげた優しい姪っ子に、神様が素敵な偶然を与えてくれたらしい。
「はい。猫」
「あっ、有り難うございます」
美桜は投げ捨ててあったカゴを拾うと、猫を中に入れた。
「君ってさぁ、ずばりソフトボール部でしょ?」
「えっ! な、何で? 私のこと知ってるんですか?」
美桜はズバリ言い当てた鷹斗に驚いた。
「いいや、ごめん。正直会ってたとしても覚えてない」
「えっ、じゃあ何で?」
目を真ん丸にして驚いた美桜に、鷹斗はまた優しく微笑んだ。
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