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※※※※※※※ 秋という季節は、ひどく曖昧な季節だなぁ、と思う。 やれスポーツの秋だ、読書の秋だ、食欲の秋だと季節をごり押ししてくる割りには、気が付いたらいつの間にか過ぎ去ってしまっている。 日中、夏のように暑いかと思えば、日が沈めばびっくりするぐらい寒くなって。 自己主張の激しい蝉と違い、秋の虫はどこか遠慮がちに控えめな声で鳴く。 物悲しくて、侘しくて───あまり、好きな季節じゃない。 この日も昼間の暑さが嘘のように、夜は息が白むほど冷え込んでいた。 忍くんの家を出た瞬間、予想外の肌寒さに私は身を縮めた。 「寒い?」 そんな私の様子を見てか、忍くんがそう聞いてきた。 「え、あ……」 「待ってて。上着取ってくる」 靴を履きかけていた忍くんは、そう言うとまた家の中へと引き返していった。 それを見送ったあと、私はスマホを取り出して時間を確認する。 ここに来た時は9時前だったけど、今は10時を回っていた。 家に着くのは……11時になるかな。 スマホを仕舞ったところで、忍くんが上着を片手に戻ってきた。 靴を履き、ドアの鍵を閉める。 近いし一人で帰れると言ったのだけど、忍くんは送ると言って譲らなかった。  
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