due

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「使って」 「あ……ありがとう」 無造作に手渡された黒いパーカーを、私は会釈しながら受け取った。 袖を通すと裾がすごく長くて、改めて忍くんの上背の高さを実感する。 家に向かって、私達は並んで歩き始めた。 気が回らないって自分でも言ってたし、実際スリッパも出してくれなかったけど。 こうして家まで送ってくれたり、上着貸してくれたり……今もちゃんと車道側歩いてくれたり、こういう細かい気遣いは出来るんだよね。 ────不思議だけど。 「忍くんに送ってもらうの、2回目だね」 横を歩く忍くんを見上げながら言うと、忍くんは無言で小さく頷いた。 「雨……降ってたよね」 「………………」 彼の言葉を受けて、私はなんとなく空を見上げた。 あの日のこと、忍くんも覚えてるんだ。 時間にしたら、たった10分ぐらいのことだったけど……私の中ではすごく印象深い思い出として、心に残ってる。 そう言えばあの日も、今と同じぐらいの季節だったなぁ……。  
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