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「じゃあ……将来的には自分のお店持ちたいとか、思ってるの?」 さっきのボウルに今混ぜていたものを彼が移し終えたタイミングで、私は次の質問をした。 忍くんはそれを混ぜながら、すぐに首を振った。 「いや……俺、経営とか向いてないし、作ることだけ考えてたいから。ドルチェ作れさえすれば、一生雇われでいい」 「え、そうなの?」 「うん。レストランにはこだわってないけど……。練習させてくれて色々試させてくれて……できれば食べてくれた人の反応が見られれば、どこでもいいかな」 「……………」 忍くんの話を聞くうちに、私はどんどん自分の生き方が恥ずかしくなってきてしまった。 無口な彼が饒舌になるほど打ち込めるものがあって。 しっかり夢もあって、将来も見据えて、今を頑張ってる。 私なんか、お父さんの紹介で勤めることのできた図書館で、非正規で腰掛けみたいな気持ちで働いてて……。 いつまでも過去に捕らわれてて、前に進もうとしなくて……人生も半分諦めてしまってる私なんかと彼は、全然違う──。 同い年だっていうのに、落差がありすぎて……ホントに情けない。  
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