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とは言え、何か喋ってくれと言われても、どっちかっていうと私も普段は聞き役で、あんまり上手く話せる方じゃないんだよね…。
「……………」
カシャカシャカシャ、と泡立て器がボウルの底をかする音が響く。
その時ふと、居酒屋でハラちゃんと話したことが脳裏をよぎった。
………いやいやいや、いくらなんでも、いきなり彼女いるかどうかを聞くのはハードルが高いでしょ。
何かもっと他に無難な話……。
「し、忍くんは、どうしてお菓子作りを仕事にしようと思ったの?」
前回会った時から聞きたかったことを、私はまず質問した。
だって高校の時の忍くんからは想像もつかなかったし……。
といっても、そんなに当時の彼のことを知ってる訳じゃないけど。
でも通ってた高校は進学校だったし……ちょっと予想外の進路だったんだよね。
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