tre-2

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食べ終わった私は口を拭きながら、知らない業界の話に興味深く耳を傾けていた。 何気なくレストランって行くけど、メニューとかってそんな風にして決まるんだなぁ…。 たくさんの職人さんがアイデアを出しあって……でも選ばれるのってその中のほんの一握りなんだ。 「忍くんも、ドルチェのアイデア出すの?」 「もちろん。すげーチャンスだもん」 「あ、もしかして……今食べたのもアイデアの1つだったりする?」 「うん」 頷いて、忍くんはグッとこちらに身を乗り出してきた。 「どうだった?」 「え……美味しかったよ、すごく」 何だか急に責任重大な気がして、私は何か他に言うことはないかと考えを巡らせた。 ただ『美味しい』だけじゃ、忍くんだって参考にならないよね……。 「そう、だな。味はすごく美味しいけど……見た目がちょっと地味かも……」 「え?」 忍くんが目を見張ったので、私は焦って両手を左右に振った。 「あ、ごめん。素人が偉そうに……」 「いや、いいよ。思ったこと正直に言って」 いつも目を逸らしてしまう忍くんが、今はすごく真剣な目で真っ直ぐに私を見ていた。  
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