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「どうぞ」
紅茶も淹れ終わって再び席についていた私の前に、忍くんがおもむろに丸いお皿を差し出した。
待ちに待ったドルチェの登場。
温度さえ感じ取れそうなチョコレートの甘い香りに、落ちていた気持ちがみるみる上昇していく。
甘いものの力って……すごい。
「下はピスタチオのソースで、上のケーキはフォンダンショコラ。その横はピスタチオのジェラート」
忍くんは向かいに座って、一つずつそう説明してくれた。
お皿は一人分しかなく、どうやら忍くんは食べないようだ。
「オススメの食べ方とかある？」
「好きに食べればいいよ。でもショコラが熱いから、固いアイスが好きならあんまり絡めないで食べたほうがいいかも」
「………なるほど」
実はちょっと、溶けかけのアイスが好きなんだよね。
う～ん、これはなかなか難しいぞ……。
「いただきます」
手を合わせてから、私はまずショコラにスプーンを入れた。
途端に中からトロッとしたチョコレートソースが溢れ出てくる。
それが下のピスタチオソースと絡まって、綺麗なマーブルを作った。
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