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(うわぁ……美味しそう……)
それを見ただけでもうたまらなくなって、私は急いで一口目を口に運んだ。
ふかふかの生地と、熱く溶けたチョコが口の中で絶妙に絡まる。
あまりにも美味しくて、私は思わず「んーっ」と唸ってしまった。
「すっごく美味しい!!」
もう本当にそれ以外に表現しようがなくて、自分のボキャブラリーの無さを軽く呪ったけど。
向かいに座っていた忍くんは、ホッとした顔で肩の力を抜いていた。
ピスタチオのジェラートはちゃんと豆の歯ごたえが残っていて、これもめちゃくちゃ私好み。
フォンダンショコラとの相性も抜群だった。
「実は今度、クリスマスディナーのコンペがあるんだ」
夢中で食べていると、忍くんがしばらくしてそう呟いた。
私は目を上げて忍くんの顔に見入る。
「コンペ……?」
「うん。店のスタッフがそれぞれアイデアを出して、メニューを決めるんだ。スープとかパスタとか、メインとかドルチェの担当が腕によりをかけて競い合う」
「へぇ、すごい」
「年に1回の一大イベントだから、クリスマスディナーのメニューに選ばれるって、すごいステータスなんだよ」
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